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華緒璃
曖昧に流す程大人ではなくて。
無邪気に付き纏う程子供ではない。 どこを見ても世界は悲しいくらい透き通っていて。 だからこそ愛しくてたまらない。 フォロー中のブログ
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光だけが美しいわけじゃない。
影だけが強いわけじゃない。 あたしが求めてるのは、瞬間を溶かす朝焼けだ。 2008年6月18日、午後11時。 1ヶ月半前に半分に割った黄色い錠剤の残り半分を砕いて飲んだ。 最初の半分を飲んだ晩、やっぱりあたしはブラックライトをつけた薄暗い部屋で音楽を大音量で聴いていた。 一つだけ違うのは、その日のあたしは踊ってる最中でさえ、携帯を握りしめてたこと。 その携帯は、あたしが踊り疲れる頃に最後の役割を果たして、今は冷凍庫で眠ってる。 黒くて青い光源は当てにならない。 一つ物事が片付けば、何かが見えるはずだったのに、未だにあたしの部屋は雑然としていて、踊っている内に足を切ってしまう。 「思ったほどは狂わなかったね。」 第一幕では、丁度、音楽が尽きて、踊り疲れて、涙も枯れたころ、聞き慣れた電子音が鳴った。 荒れた部屋を見て、汗ばんだ首と腫れた目に、少し訝しげな顔をしてから、彼は何も言わずにあたしにキスをした。 第二幕、砕かれた黄色い半月は、喉を通って胃に到達する。 少しづつ、聴覚が鋭くなっていく。 音楽が直接脳に響いて、あたしは人間の形を保てなくなる。 意識が薄れる。 言葉が認識できない。 だけど、どうしても今。 聞いておかなきゃいけないことがある。 彼の眠そうな左目の。 瞼を右手の親指で撫ぜて。 目を瞑ってキスをする。 ああだけど。 彼があたしの頭を抱きしめることはもうない。 15時間の睡眠。体が重い。 頭の働かないあたしには時間の過ぎる感覚がない。 冷たい水が欲しくて、あたしは冷凍庫の氷を探した。 2008年6月19日、午後7時。 氷の代わりに、携帯を冷凍庫から取り出した。 死んだ鳥よりも冷たい携帯を握りしめる。 どれくらい経っただろう、黒いプラスチックは周囲の温度に馴染んでいた。 目の前にはまだ、木造の暖かい光が残っている。 現実が完全に戻ってくる前に、生き返った携帯をあたしはゴミ箱に捨てた。 光だけが美しいわけじゃない。 影だけが強いわけじゃない。 あたしが求めてるのは、瞬間を溶かす朝焼けだ。 2008年6月20日、午前3時。 外はまだ暗い。
by escape_fromCLYDE
| 2009-01-20 15:14
| 戯言
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